この記事では、近年の中国知財政策の特徴の3つ目、「知的財産権の実施・運用の促進」について解説します。
中国の知財政策の概要について解説した記事はこちらです。
知的財産権の実施・運用の現状
近年、中国における知的財産権を用いた担保・融資の金額が大幅に増加しており、2020年には2,180億人民元に達しました。
また、現在は出願段階での補助金を撤廃し、特許活用時の補助金政策に転換したため、より多くの資金が活用時の補助金として投入されています。
さらに、知的財産権を用いた担保・融資・保険・証券化等の事業や金融商品も積極的に展開されており、一部の産業や地域に知的財産運用センターも設立され、知的財産権の実施・運用を促進しています。
特許の実施・運用を促進するための特許法の改正(2021年6月施行)
特許の実施・運用を促進するため、2021年の特許法改正において関連規定が設けられ、特に、特許開放許諾制度が導入されました。
新特許法では、特許権者は国務院管轄の特許行政部門に対して、一定のライセンス料を条件として、いかなる団体又は個人に対しても特許の実施を許諾する意思があることを書面により表明できます。
国務院管轄の特許行政部門は、特許権者の申告を公示し、開放許諾したものとすることができます。これは事実上、国が開放型特許ライセンス取引のプラットフォームを提供し、特許の実施・運用を促進することになります。
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今回は、中国知財分析について解説してきました。
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本記事の執筆者プロフィール
郝家歓氏 (Jiahuan Hao)
ScienBiziP Intellectual Property Agency Co., Ltd.
中国弁理士
国内外の特許出願を数千件対応するなど中国弁理士として知的財産業界で長年経験を積み、中国の政策動向にも明るい。
様々な産業・技術関連の特許情報調査、競合他社報分析、特許リスク調査、特許侵害分析、特許無効証拠調査の経験も有する。