IPランドスケープとは何かについて定義・方法・ツールを解説

2022/03/03

このページは、IPランドスケープとは何か、という基礎的な知識を始めとして、定義・やり方・ツールについて理解を深めたい方に向けた記事となっております。

IPランドスケープとは

まず初めにIPランドスケープとは何かを説明します。
IPランドスケープというのは、特許情報と非特許情報を総合分析し、事業関係を明らかにして将来予測することで、クライアントの事業戦略立案に寄与するものです。


IPランドスケープの定義

IPランドスケープの定義に定まったものはありませんが、「経営戦略・事業戦略を立てる上で、特許情報・非特許情報を総合的に分析し、現在の事業環境と将来の予測を含めた結論を元に、経営者・事業責任者と共有するもの」と定義づけられると考えます。

引用:特許庁から公表された「知財スキル標準(version 2.0)

そして、その分析結果を共有することをきっかけとして、今後の経営戦略や事業戦略の議論・協議を活性化させ、事業成長につなげていくことを目的としています。

パテントマップ(特許マップ)とIPランドスケープの違い

IPランドスケープについて理解を深める上で、よく比較されるパテントマップとの違いについて整理しておきます。

パテントマップとは、「攻守合わせた最適な特許戦略を立案するために、膨大な特許情報を可視化することで知財部門・R&D部門などに分析結果を共有する」ものであることに対して、IPランドスケープは「将来を見据えた経営戦略・事業戦略を立案するために、特許情報・非特許情報を活用して経営者・事業責任者に分析結果を提案する」ものとなります。

IPランドスケープは従来からのパテントマップと全く異なるものであると考えがちですが、全く異なるものというわけではなく、延長上にあるものと捉えることができると考えております。

IPランドスケープの用途・活用方法

IPランドスケープの用途や活用方法としては様々なものがあります。


・新規事業探索(用途・研究開発分野など)
・知財ポートフォリオ構築・活用戦略検討
・知財・マーケティング総合戦略検討
・経営環境分析、競合他社動向分析
・M&A・アライアンス戦略検討
・知財デューデリジェンス(知財品質・価値評価、リスク分析など)

IPランドスケープを活用することで、今までの知財業務から発展した用途に活用することができ、事業成長促進のきっかけとすることができます。

IPランドスケープに取り組む方法・やり方

IPランドスケープに取り組む方法・やり方としては、大きく分けて5つのステップがあります。

1. 仮説・課題の設定
2. 特許情報の取得・視覚化(自社・競合ともに含む)
・調査範囲の設定(母集団の作成)
・分類軸の作成
・特許データの分類
・特許データのグラフ化、情報解析
3. 非特許情報の取得・視覚化(マクロ・ミクロを含めた市場の情報)
・マーケット情報の取得・視覚化
- 主要プレイヤー、競合他社情報
- M&A、投資情報
- 特許情報解析結果の裏付けとなる情報 など
4. 特許情報・非特許情報を組み合わせた分析、仮説・課題に対する結論の導出
5. 経営者・事業責任者への提言

IPランドスケープに取り組む上では、これまで知財部門が専門としてきた特許情報以外に、非特許情報の視覚化が重要となります。

その情報を集める上では社内の他部門との連携や、調査会社、コンサルティング会社など非特許情報を扱う専門家とパートナーを組むことも検討すべき点になります。

また、必ずしも特許情報を視覚化してから非特許情報を視覚化する必要はありません。2と3を同時進行で進めることで、ステップ5の経営者・事業責任者への提言までの期間を短くすることもできます。

IPランドスケープに取り組む上で効果的なツール

IPランドスケープに取り組む上で様々な効果的なツールがあります。その中でも、大きく分けて特許情報と非特許情報に活用できるツールがあります。

<特許情報の収集・分析ツール>

たとえば特許情報の検索、可視化、分析が可能なクラリベイト社が提供しているDerwent Innovationがあります。多くの知財関連企業が採用しているツールです。他にもRWS社のPatBaseやQuestel社のOrbit Intelligenceなど、様々なツールがあります。

また、弊社で取り扱っているAIを活用した特許分析プラットフォームPatentcloudがあります。

クラウド上で効率的な知財情報収集、情報共有、データ分析ができますので、組織で連携しながら業務を進めていくのに役立ちます。

Patentcloudは全6製品あり、特に下記の3製品はIPランドスケープで有効なツールだと考えています。
- Patent Search : 誰でも簡単に検索できる特許検索ツール
- Due Diligence : 特許ポートフォリオ評価ツール
- Patent Vault : 特許情報管理・分析を一元的に行えるワークスペース

たとえばIPランドスケープに取り組まれている企業様はこれらの製品を連携することで、自由にカスタマイズした分類軸を作成できるので、より自社のニーズに合わせた分析を行うことが可能です。

さらに自社や競合の特許ポートフォリオを簡単に抽出してワンクリックで分析することができますので、グラフやレポート作成の時間を大幅に短縮することもできます。

ただいま無料トライアルも実施しておりますので、ぜひこの機会に最下部のメールアドレスからお問合せ下さい。

<非特許情報の収集・分析ツール>

次に、非特許情報の収集や分析に活用できるツールをご紹介します。世界中の企業情報、業界レポート、市場データなどの情報収集を効率化できるクラウドサービスのSPEEDAや、全国145万社の企業情報や新聞・雑誌記事など、多彩情報を持つビジネスデータベースサービスのG-Searchがあります。

IPランドスケープについて知識を深めるセミナー

IPランドスケープについて、知識を深めていくためにはセミナーも有効です。弊社ではIPランドスケープに関するセミナーなども開催しておりますので、ぜひ合わせてセミナーページもご覧下さい。

IPランドスケープのソリューションサービスについて

ここでは、弊社におけるIPランドスケープのソリューションサービスについてご紹介させていただきます。 弊社では、技術分野や製品の観点から特許群を分類し、非特許情報と総合的に分析することで、ターゲット領域について包括的な知見を提供いたします。

また、競合他社分析、M&A分析、アライアンス分析等、様々なシーンに対して分析を行います。 さらに日本、米国、中国、台湾のグローバル拠点がありますので、国内だけでなく海外を含めた分析にも対応しております。

IPランドスケープとは何かについてのまとめ

IPランドスケープとは何かについてのまとめ図解

最後にIPランドスケープについてまとめておきます。

IPランドスケープというのは、特許情報と非特許情報を総合分析し、事業関係を明らかにして将来予測することで、クライアントの事業戦略立案に寄与するものです。

そして、その分析結果を共有することをきっかけとして、今後の経営戦略や事業戦略の議論・協議を活性化させ、事業成長につなげていくことを目的としています。

弊社ではIPランドスケープに関するソリューションサービスをご提供しております。

下記のメールアドレスよりご相談いただければ、御社の事情に合わせた最適なご提案をさせて頂きます。

お問合せ、お待ち申し上げております。

・お問合せ先:受付事務局 ip-consulting@scienbizip.jp